国立天文台科学研究部

科学研究部の塚越崇特任助教らの研究グループは、若い星うみへび座TW星を取り巻く塵とガスの円盤(原始惑星系円盤)を観測し、円盤内で惑星が作られつつある強い証拠を発見しました。円盤内に、これまで発見されていなかった小さな電波源が存在することを明らかにしたのです。研究グループは、この電波源が (1) すでに形成されつつある海王星サイズの惑星を取り巻く「周惑星円盤」、(2)円盤内で生まれたガスの渦に溜まった塵で今後惑星になりうる構造、のいずれかだと考えています。どちらの場合も円盤内で惑星が成長していく重要な現場を見ていることになり、惑星形成の過程を理解する重要な観測成果です。

詳しくはアルマのプレスリリースをご覧ください.

(2019/6/26) 
Tsukagoshi et al., 2019, ApJL, Volume 878, Issue 1, article id. L8, 6 pp. [ADS]
塚越 崇 (researchmap personal page

星は冷たいガスが重力で集まって誕生するため、赤ちゃん星である原始星はX線を出すような高温現象とは無縁だと考えられていた時代がありました。しかし観測から、原始星がX線を出すような激しい爆発を頻繁に引き起こしている様子が示されています。この謎を明らかにすべく、科学研究部の高棹真介特任助教や岩崎一成助教らのグループは国立天文台のスーパーコンピュータ「アテルイII」を用いて、成長段階にある原始星の大規模シミュレーションを行いました。その結果、原始星が周囲から取り込んだ磁場のエネルギーを使って爆発を引き起こすという機構を見つけ、観測と矛盾しない結果を得ることができました。本研究は星が誕生する過程を明らかにする上で重要な成果です。

(2019/06/06)

Reference:
Takasao et al., 2019, The Astrophysical Journal Letters, Volume 878, Issue 1, article id. L10, 7 pp. [ADS][ApJL]
Contact:
高棹真介 [personal website]
岩崎一成 [personal website]

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