開催趣旨


 分⼦雲が⾃⼰重⼒で収縮し、星の誕⽣にいたるという進化のあらすじ に疑問を唱える研究者は、今や皆無であろう。しかし、その詳細な物理 プロセスにおいて磁場がどのような役割を果たしているのかは必ずしも 明らかでない。さらに、形成された恒星において、磁場がどのように進化 していくかを考えるうえでも、星形成過程における磁場の役割を理解する ことは本質的である。⼀⽅、星形成過程の初期条件を与える分⼦雲の 形成機構を理解するためにも、分⼦雲スケールでの磁場の役割の理解は ⽋かせない。さらに銀河システムおける星間物質のエネルギー収⽀を 評価するためには、銀河スケールでの磁場の様相を把握し、理論モデル に取り込んでゆく必要がある。つまり、星形成と密接に関わる諸現象を 理解するためには、さまざまな空間スケールでの磁場に関する観測的研究 を俯瞰し、理論予測と突き合わせる必要がある。
 我が国の星形成の理論研究は、 磁気星間雲の形成から原始星形成、それに伴う 星周円盤の形成にいたるまでの理論の構築、シミュレーション研究、 さらにはそれらを観測結果と比較するための可視化において世界の追随 を許さない。これに対して、観測分野でも世界をリードする研究が 展開されてきた。最近では、サブミリ波望遠鏡JCMTに新たに搭載した 偏波計を用いて、近傍の星形成領域において偏波撮像の網羅的観測が 成果をあげつつある。さらに、野辺⼭ 45m 鏡でゼーマン効果を検出する 試みも進⾏中である。
 以上の状況を鑑み、2015年度はセミナー型ALMAワークショップとして 「磁場は星形成過程のどの進化段階を律速しているのか?」(注1)を 開催した。この流れを受け、今後、この分野の研究を⼤きく発展させる ために、磁場に関⼼をもつ理論、観測の研究者が⼀堂に会するワーク ショップを国⽴天⽂台・理論研究部シンポジウムとして開催する。


場所


国立天文台三鷹 コスモス会館会議室



世話人

世話⼈代表:塚本 裕介(理化学研究所)
世話⼈:井上 剛志(国立天文台), 古屋 玲(徳島大学),
    岩崎 一成(同志社大学), 中西 裕之(鹿児島大学), 犬塚修一郎(名古屋大学)
問い合わせ先 DTAmag あっと mail.doshisha.ac.jp