数値解析演習マニュアル・Fortran の基礎
目次
No.1: Fortran とは

コンピュータ(計算機)は、スイッチを入れただけでは何もしてくれません。人間がやらせたい作業を命令する必要があります。そのやらせたい作業の流れを記述したものがプログラムです。それではプログラムはどう書けばいいのでしょうか?紙に作業内容を羅列してコンピュータの前に示しても、コンピュータはそれを読んではくれません。つまり、コンピュータが読める言葉でプログラムを書く必要があるわけです。その言葉がプログラム言語です。

Fortran はそのプログラム言語の一つです。Fortran は数値計算を行なうときによく使われてきた言語であり、現在でも多くの人が Fortran を用いて数値計算を行なっています。

 
No.2: 実際にやってみよう
それでは実際にプログラムを書いてみましょう。プログラムを書くにはテキストエディタを使います。これは Unix の基礎編で説明のあったemacsを用います。まず、ターミナル上で次のように入力して下さい。

$ emacs sample.f90 

sample.f90 の .f90 はそのファイルが Fortran90 の(ソース)プログラムであることを示す拡張子です。では、emacs 上で次のように入力しましょう。このプログラムは、ターミナルに "Hello, world!" と出力させるプログラムです。

1: write(*,*) 'Hello, world!'
2: end

左端の行番号とコロン(:)は入力する必要はありません。入力できたらこれを保存します。やりかたはこちらに書いてある通り、C-x C-s です。ちゃんとファイルができているか確認。

$ ls
sample.f90
     

実際にプログラムを走らせてみましょう。その前に、一つやることがあります。Fortran90 でプログラムを書いたわけですが、これだけではコンピュータは実行してくれません。というのも、Fortran は人間がわかる言葉なのですが、コンピュータはこのままでは理解できないからです。つまり、コンピュータがわかるように言葉を翻訳する必要があるわけですね。この翻訳のことを「コンパイル」といいます。コンパイルすると、計算機がわかる言葉で書かれた「実行ファイル」が作られます。実際に sample.f90 をコンパイルするには次のように入力します。

1: $ gfortran sample.f90
2: $ ls
3: a.out sample.f90
     

左端の番号は見やすくするためのものなので実際にはないものです。1行目の gfortran というものがコンパイルするための命令です。つまり1行目を解説すると「Fortran90 で書かれた sample.f90 というファイルをコンパイルしなさい」という命令になります。コンパイルが正常に終了すれば、何事もなく入力待ちになります。2行目で、コンパイルが終了したらどういう実行ファイルが作られているか確認しています。3行目を見ると、新しく a.out というファイルができています。これが sample.f90 をコンパイルして作られた実行ファイルです。さて、これを実行させてみましょう。


1: $ ./a.out
2: Hello, world!
     

このようにターミナルに文字が出力されたはずです。
 
ここまでのまとめ
 
    ここまでのまとめ
  • コンピュータ(計算機)に仕事をさせるにはプログラムを書く必要がある。
  • Fortran はプログラム言語の一つ。科学技術計算の分野では最も良く使われている言語である。
  • プログラムを書くには emacs などテキストエディタを用いる。
  • プログラムを書いただけでは処理は行なわれない。コンパイル作業が必要である。
  • プログラムをコンパイルして作られる実行ファイルをコンピュータに読ませることによって、処理が実行される。
今回はここまでです。プログラムの編集→コンパイル→実行という流れをつかんでもらえたでしょうか?次は Fortran90 について少し詳しく見ていくことにします。