2019-06-12

オリオンA分子雲の高密度コア探査とその質量関数

竹村英晃 (総研大)

要旨:

星は分子雲の中に点在する高密度コアで誕生し、その進化過程は星の形成時の質量に強く依存する。小質量星の形成過程はこれまでに観測・理論両面から盛んに研究され、星形成の標準シナリオが構築された(Shu et  al.  1987; Andre et al.  2000)。一方、8太陽質量を超える大質量星の形成過程については、遠赤外線放射などの小質量星形成では影響の小さい物理過程を考慮する必要があることと、観測された天体数が少ないことが原因で理解が進んでいない。
 大質量星と小質量星が同様のメカニズムで形成されるとすると、大質量星形成領域の高密度コアの質量関数(CMF)と小質量星形成領域のCMFは類似した特徴を持つことが期待される。近傍の小質量星形成領域においては、大質量側で星の初期質量関数(IMF, Salpeter et al. 1995)に似たベキを持つCMFが報告されている(e.g. Sadavoy et al. 2010)。
 本研究では、近傍(~ 414pc)の巨大分子雲であるオリオンA分子雲の、野辺山45m鏡で観測した高密度領域をトレースするC18O(J=1-0)輝線の広域マップ(Nakamura et al. 2019)を用いて高密度コアの無バイアスサーベイを行った。階層構造解析アルゴリズムDendrogram(Rosolowsky et al. 2008)を用いてコアを同定し、Herschelのダスト連続波の観測(Lombardi et al. 2014)から求めたC18Oの存在比より質量を導出した。 次に、ビリアル解析の結果とHOPSカタログ (Furlan et al. 2016)を用いて、重力的に束縛された星なしコアを抽出した。CMFは数太陽質量で最大となり、大質量側でSalpeterのIMFに似たベキを持つCMFが導出された。

host contact: Akimasa Kataoka