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0.事前準備・技術的な補助資料

論文の記述

研究結果は査読論文として世に発表します。他人の研究結果を利用するときは必ず論文への引用をつけます。本講義では下記の通りの省略を用います。

分野によりますが、天文系では、主著者がメインで論文を書いている場合が多いです(first author = corresponding author)。 主著者が学生の場合指導教員は2番目に来ることが多いですが、最後が好きな教員もいるようです。 ただし、特にlast authorを重視する文化はありません。

論文の検索方法

天文系では通常ADSという無料サービスを使います。 例えばKataoka et al. 2019 を探すときは検索窓に [author:"^kataoka,a" property:refereed year:2019] と入れて検索してください。

該当論文のページ から該当論文を取得するには以下の通りにして下さい。右上の方にFULL TEXT SOURCESと書いてあります。ここのPublisherという方が公式な論文ページです。ただし、論文によっては有料となっていますが、大学のネットワークを通してこのページを閲覧すると、大学がお金を払ってくれ、学生は料金を払わずに見ることができます。大学のネットワークを利用できるときはこちらを利用してください。一方で、自宅などで有料論文が見れない際は、arXivと書いてある方を使ってください。こちらは、天文・物理・数学の論文を、著者が自分でアップロードしてあるプレプリントサーバーです。出版論文と一部表現が違うことがありますが、ひとまずarXiv版を見て問題はないでしょう。 - 地球惑星系の論文もADSである程度出てきますが、arXivに載せない流儀の分野もあるようです。

単位系・よく使う定数

cgs単位系を用います。教養の授業等はSI単位系だったと思いますが、天文学は慣例的にcgs単位系を用いています。例えば長さの単位はcmですし、重さはgです。

また、天文独自の単位も頻出します。変換がわからないものはグーグルに 例えば「1auをcmで」と聞けば答えてくれます。以下、正確性を大きく欠く大雑把な覚え方です。概算の役に立ちます。正確な数字は各自調べてください。

  • 1年は10の7.5乗秒(1e7.5 or 3e7)
  • 1太陽質量は2e33g
  • 1000木星質量で1太陽質量
  • 300地球質量で1木星質量
  • 光速は3e10cm/s
  • 1auは1.5e13cm
  • 1Jyは1e-23 cgs単位系 (Jyはジャンスキー、明るさの単位。)
  • 輝度温度変換は面倒なのでNRAOのページを見る
    • \(1.36\frac{\lambda^2}{\theta_{maj}\theta_{min}}I\), ただし I [mJy/beam], \(\lambda\) [cm], \(\theta\)秒角。

プログラミングを用いたかんたんな計算

数字を用いた計算は紙でやってもいいのですが、ここではpythonを使ったかんたんな計算法を書いておきます。pythonは適宜インストールした上で自分の端末でpip install astropy とやっておきます。ここで、condaを利用している人は別途そちらを使ってください。エディター等はなんでもいいのですが(たぶん今はVScodeが人気?)ここでは環境依存を減らすため、jupyter labをおすすめしておきます。pip install jupyterlabでインストール。そのうえで、下記のように計算ができます。

#astropy というパッケージの中にある定数表をastroconstという名前でimportしておく
from astropy import constants as astroconst

#astroconstの中から木星質量をとってきて、その値をM_pという変数に入れる。単位は常にcgs
M_p=astroconst.M_jup.value

#試しに値を確認してみる
print('The mass of Jupiter is',M_p,' [g]')
The mass of Jupiter is 1.8981245973360505e+27  [g]

こんな感じで使えて便利です。ちなみに、さっき太陽は1000木星とか言ってましたが、本当かどうかは下記のようにすると確かめられるでしょう。

#astropy というパッケージの中にある定数表をastroconstという名前でimportしておく
from astropy import constants as astroconst

#astroconstの中から木星質量をとってきて、その値をM_pという変数に入れる。単位は常にcgs
M_p=astroconst.M_jup.value
#astroconstの中から木星質量をとってきて、その値をM_sという変数に入れる。単位は常にcgs
M_s=astroconst.M_sun.value

#太陽質量と木星質量の比を確認してみる
print(M_s/M_p)
結果は自分で見ておいてください。

Snip web

印刷物に記された数式をTeX形式で起こしたいがだるいと思った経験はないでしょうか。 画像ファイルを読み取ってTeXにしてくれるサービスがあります→ Snip Web。 が、無料版では枚数制限があるのでお気をつけてお使いください。

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