津田正太郎『ネットはなぜいつも揉めているのか』(筑摩書房)
(2024年5月読了)
SNSでの「炎上」騒ぎはもはや日常茶飯事であり、揉め事を目にしない日はないといっても過言ではない。本書の著者も、『銀河英雄伝説』に見られるジェンダー観についてうっかりツイートしたところ、炎上が発生してしまった経験を持つ。本書では、こうしたSNS炎上の背景について、メディア論・社会学・政治学などの立場から総合的に議論されている。一般に人間社会というものは複雑であって、そこで生起する現象について単純な因果関係を見出すことは難しいことが多い。SNSもまたそうであって、本書では明快な説明や簡易な解決法は与えられておらず、様々な原因が複雑に寄与するようすが描かれている。もっとも、複雑なものごとを複雑なままに理解する能力が人間にあれば、こんなことにはなっていないのかもしれないが……。
戻る