トップ   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS

Short のバックアップ(No.81)

ショートコロキウム2015 †

ショートコロキウムは理論研究部の内部向けのセミナーであり、原則として毎週水曜日の午後13:30から開催しています。 講演はできるだけ英語でお願いしますが、 学生は日本語で発表しても構いません。 後者の場合、スライドを英語で作っていただけると助かります。

ショートコロキウムの後には理論コロキウムを行います。

↑

Schedule & History †

2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度

日程発表者タイトル場所/時間備考
4/8全員自己紹介コスモス会館 / 13:30
4/15野沢貴也高赤方偏移クェーサー母銀河中の星間ダスト進化と減光曲線コスモス会館 / 13:30
4/22古澤峻中性子星からストレンジクォーク星への燃焼過程コスモス会館 / 13:30
5/13朝比奈雄太Westerlund 2星団方向の分子雲形成シミュレーションコスモス会館 / 13:30
5/13祖谷元中性子星クラスト振動と電子遮蔽効果コスモス会館 / 14:10
5/20脇田茂原始惑星系円盤内の酸素同位体組成分布コスモス会館 / 13:30
5/27藤井通子星団のバリエーションの起源コスモス会館 / 13:30
6/3（お休み）第3回DTAシンポジウム開催のため
6/10（お休み）ロングコロキウムを２つ開催するため
6/17（お休み）ロングコロキウムを２つ開催するため
6/24（お休み）宇宙核物理シンポジウム開催のため
7/1（お休み）Star Formation Workshop開催のため
7/8浜名崇重力レンズ銀河団計測による宇宙論パラメーター推定コスモス会館 / 13:30
7/15磯江麻里Exoplanetary System Dynamics: Multiplicity and Planetary Mass Effectsコスモス会館 / 13:30
7/22高橋博之ブラックホール近傍での高温ガス雲形成コスモス会館 / 13:30
10/07(no talk)
10/14(no talk)(two long-colloquium talks)
10/21Masaomi TanakaExploring Short-Timescale Transients in the UniverseConference Room, Cosmos Lodge / 13:30
10/28(no talk)(workshop of theoretical astronomy)
11/04Hiroshi KobayashiRadiation-MHD Simulation of Clumpy Outflow from Supercritical Accretion Flowlecture room / 13:30
11/11(no talk)(intensive lucture by Prof. Kotake)
11/18Shoichi OshinoTerrestrial Planet Formation around Low-Mass Stars: Effect of the Mass of Central StarsConference Room, Cosmos Lodge / 13:30
11/25Tsunehiko Katolecture room / 13:30
↑

Abstract †

4/15　野沢貴也(理論部)　高赤方偏移クェーサー母銀河の星間ダスト進化と減光曲線
赤方偏移が4を超えるクェーサーの減光曲線は、近傍の銀河のものと異なることが知られている。また、このようなクェーサーの母銀河中には大量の星間ダストが存在することも確認されている。これらの観測は、宇宙初期において星間ダストが急速に増加し、またそのダストの性質が現在の宇宙のものとは異なっていることを示唆する。本研究では、ダストのサイズ分布を考慮した星間ダスト進化モデルに基づき、高赤方偏移クェーサーのダスト量と減光曲線の進化について調べた。その結果、クェーサーの母銀河中に密度の高い分子雲が豊富に存在していれば、ダスト上への重元素ガスの降着とダストの合体成長が効率的に起こり、宇宙初期で観測された大量のダストの存在と特異な減光曲線を同時に説明できることを明らかにした。また、このような宇宙初期における炭素質ダストは、グラファイトではなく主に非晶質炭素であることも突き止めた。
4/22　古澤峻(CfCA)　中性子星からストレンジクォーク星への燃焼過程
超新星爆発後に形成される中性子星は、ストレンジクォーク星に転換する可能性があり、解放されるニュートリノが観測可能であることも期待されている。我々は、１次元定常流におけるハドロンマターからストレンジクォークマターへの転換の過程を、詳細に調べた。本講演では不定性の多いクォーク物質の状態方程式や初期の密度などが、転換過程に 与える影響について議論する。
5/13　朝比奈雄太(CfCA)　Westerlund 2星団方向の分子雲形成シミュレーション
Westerlund 2星団方向に直線状に延びた分子雲と円弧状の分子雲が観測されており、それらの分子雲の間にはTeVγ線源が存在している。我々はこれらの分子雲がジェットと星間中性水素ガスの相互作用によって形成されているのではないかと考え、ジェットと星間ガス相互作用シミュレーションを実施した。また、分子雲形状の違いは星間ガスの密度分布の違いが原因であると考え、中性水素ガスのボリュームフィリングファクターを変化させた計算を行った。フィリングファクターが小さい場合にはジェットは中性水素ガスの間を伝播できるので分子雲は広がった構造になった。フィリングファクターが大きい場合にはジェットは中性水素ガスを掃き集め分子雲の形状は円弧状に近づくことを示した。
5/13　祖谷元(理論部)　中性子星クラスト振動と電子遮蔽効果
中性子星内部は標準核密度を超えるため、地上実験でそのような極限状況下での物性を知ることは非常に困難である。一方、中性子星の振動は内部の情報を反映したものとなるため、振動数から星内部を「見る」ことができるかもしれない。この手法は星震学と呼ばれている。中性子星の振動を直接とらえた観測例はほとんどないが、最近軟ガンマ線リピーターでいくつか準周期的振動数が見つかっている。そこで、我々はこの準周期的振動数を中性子星クラストでの振動と対応させることで、クラストの状態方程式への制限を目指してきた。今回の講演では、特に電子遮蔽の効果を取り入れた解析を行い、その効果がどの程度重要かを議論するとともに、最近新たに見つかった準周期的振動をこれまでと同じ枠組みで説明できるか考える。
5/20　脇田茂(CfCA)　原始惑星系円盤内の酸素同位体組成分布
地球外物質である隕石の分析結果から、原始太陽系星雲内では酸素同位体比が不均質であった可能性が示唆されている。原始惑星系円盤を観測することでこの起源が明らかになると考えられ、この目的には高分解能を持つALMA望遠鏡が必要である。ALMAによる原始惑星系円盤内での一酸化炭素の観測から、初期太陽系内の酸素同位体組成分布の解明を目指す研究の紹介を行う。
5/27　藤井通子(理論部)　星団のバリエーションの起源
古典的には星団は散開星団と球状星団の２つに大きく分類されるが、近年の観測から、若い星団にはyoung massive cluster、embedded cluster、leaky clusterといったバリエーションがあることがわかってきた。星団のバリエーションはどのように生まれたのかを明らかにするために、乱流を持つ分子雲を初期条件とする星団形成シミュレーションを行った。その結果、天の川銀河で典型的な分子雲からは古典的な散開星団やOBアソシエーションが形成され、スターバースト銀河で典型的な大質量かつ高密度の分子雲からはyoung massive clusterが形成されることがわかった。
7/15　磯江麻里(東京大/理論部)　Exoplanetary System Dynamics: Multiplicity and Planetary Mass Effects
近年の系外惑星探査の観測技術の向上に伴い、複数の惑星からなる惑星系が多数発見されている。本研究では、2014年12月までに視線速度法によって観測された375系500個の惑星と、ケプラー望遠鏡によって発見された複数惑星系の365系899惑星(含む惑星候補天体)を用い、惑星数や惑星質量と惑星系の力学構造の関係を統計的に明らかにすることで、惑星系形成・進化モデルへの新たな制限の可能性を探る。惑星系は、系の惑星数、中心星の質量で規格化した惑星質量、中心星の進化段階の3個のパラメータで分類し、それぞれの惑星系の構造を統計的に調べた。今回は特に惑星系の角運動量欠損(AMD)とヒル半径で規格化した隣接惑星間軌道間隔に注目した。その結果、系のAMDは惑星数の増加に伴い減少することがわかった。これは系内の惑星が多くなるほど、系が安定であるためにはそれぞれの惑星の軌道が円軌道に近くなければならないことを意味する。また、大質量惑星と小質量惑星の軌道離心率の分布は異なることがわかった。特に0.4より大きい軌道離心率は大質量惑星系にのみ存在する。更に、主系列星周りの小質量惑星系では、軌道間隔が15-30の範囲で惑星数との間にべき乗の反相関性があることが確認された。また、中心星の進化が進むにつれ、軌道間隔が狭くなる傾向がある。複数惑星系の力学的構造の統計的性質についてまとめ、その形成論的な意味について議論する。
7/22　高橋博之(CfCA)　ブラックホール近傍での高温ガス雲形成
ブラックホール候補天体からは様々な放射スペクトル/アクティビティが観測されており、これらはブラックホールへのガス降着量によってその様相が変わると考えられている。高降着円盤ではソフトなX線に加えて10keV程度までのびる硬X線が受かっているが、この硬X線源の起源はわかっていない。我々はこの硬X線源の起源を探るため、一般相対論的輻射磁気流体計算を用いて３次元大局的シミュレーションを行った。その結果、ブラックホール近傍(r <10 - 15 rg)に輻射と熱平衡にならない高温ガス雲が形成されることがわかった。この高温ガス雲の大きさは磁場形状によって決まっており、ポロイダル磁場優勢の場合にはこの領域がより広く広がることがわかった。さらにこの高温ガス雲の温度はブラックホールスピンに影響を受けることがわかった。具体的にはポロイダル磁場が強く、ブラックホールが回転している場合に高温ガスがより明確に現れる事が解った。これはブラックホールの回転エネルギーの一部が円盤へと伝わり、円盤加熱へと寄与したためと考えられる。本発表ではこの高温ガス雲の構造について発表する。
10/21　Masaomi Tanaka(DTA)　Exploring Short-Timescale Transients in the Universe
The transient sky has been intensively explored by various surveys in the last decade. One of the important discovery spaces for time-domain astronomy is phenomena with a short timescale, ~< 1 day. To explore this frontier, we have recently started a high-cadence transient survey with Subaru telescope. We have discovered five transients showing the rising timescale shorter than 1 day. We find that the event rate of such transients is not negligible compared with supernova rate. In this talk, I will discuss the nature of these short-timescale transients and their implications.
11/4　Hiroshi Kobayashi(SOKENDAI/DTA)　Radiation-MHD Simulation of Clumpy Outflow from Supercritical Accretion Flow
Clumpy-shaped outflows from supercritical accretion around a stellar mass black hole are reproduced by a global Radiation-MHD simulation (Takeuchi et al. 2013). However, 2D axis symmetry is assumed in the simulations. Hence, we need to confirm the clumpy structure by 3D simulations. In this talk, I will introduce progress report toward achieving this goal.
11/18　Shoichi Oshino(CfCA)　Terrestrial Planet Formation around Low-Mass Stars: Effect of the Mass of Central Stars
The Kepler space telescope has detected several thousand planets and candidates. Their central stars are mainly FGK-type stars. It is difficult to observe M-stars by using visible light since M-stars have their peak radiation in the infrared region. However, recently there are several survey projects for planets around M-stars such as the InfraRed Doppler (IRD) survey of the Subaru telescope. Therefore it is expected that the number of planets around M-stars will increase in the near future. The habitable zone of M-stars is closer to the stars than that of G-stars. For this reason, the possibility of finding habitable planets is expected to be higher. Here we study the formation of close-in terrestrial planets by giant impacts of protoplanets around low-mass stars by using N-body simulations. An important parameter that controls formation processes is the ratio between the physical radius of a planet and its Hill radius, which decreases with the stellar mass. We systematically change the mass of the central stars and investigate its effects on terrestrial planet formation. We find that the mass of the maximum planet decreases with the mass of central stars, while the number of planets in the system increases. We also find that the orbital separation of adjacent planets normalized by their Hill radius increases with the stellar mass.