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- 49 (2015-02-13 (金) 17:34:42)
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- 61 (2015-05-18 (月) 16:27:13)
- 62 (2015-05-20 (水) 13:27:16)
- 63 (2015-05-21 (木) 12:47:31)
- 64 (2015-05-22 (金) 08:06:06)
- 65 (2015-06-02 (火) 12:11:22)
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- 69 (2015-07-11 (土) 11:26:34)
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- 71 (2015-07-19 (日) 22:12:50)
- 72 (2015-08-26 (水) 08:05:48)
- 73 (2015-08-31 (月) 17:20:28)
- 74 (2015-09-07 (月) 11:54:27)
- 75 (2015-09-07 (月) 15:18:34)
- 76 (2015-09-15 (火) 14:05:18)
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- 80 (2015-11-02 (月) 15:53:19)
- 81 (2015-11-10 (火) 11:18:09)
- 82 (2015-11-19 (木) 15:07:16)
- 83 (2015-11-20 (金) 17:16:46)
- 84 (2015-11-25 (水) 14:41:34)
- 85 (2015-11-30 (月) 15:52:33)
- 86 (2015-12-12 (土) 15:58:24)
- 87 (2016-01-04 (月) 15:16:59)
- 88 (2016-01-11 (月) 21:02:16)
- 89 (2016-01-15 (金) 16:20:57)
- 90 (2016-01-22 (金) 13:56:52)
- 91 (2016-02-04 (木) 16:19:50)
ショートコロキウム2014 †
ショートコロキウムは理論研究部の内部向けのセミナーであり、原則として毎週水曜日の午後13:30から開催しています。
ショートコロキウムの後には理論コロキウムを行います。
Schedule & History †
Abstract †
- 4/23 藤井通子(理論部) 質量関数のある星団のコアコラプス時間
- 星団の星に質量関数がある場合、全ての星が等質量の場合と比べ、星団のコアコラプス時間が短くなることが知られている。本研究では、N体シミュレーションと理論から、質量関数を持つ星団のコアコラプス時間がどのように決まっているのかを調べた。その結果、粒子数が多い、または質量関数の質量比が小さい場合、星団のコアコラプス時間は最も重い星が力学的摩擦で星団の中心に沈むタイムスケールとなり、質量に反比例して短くなることがわかった。また、質量比が非常に大きい場合は、実質的に小粒子系と同様な進化をし、コアコラプスという現象が起こらないことがわかった。
- 5/7 脇田茂(CfCA) 小惑星イトカワの母天体の熱進化
- 探査機はやぶさが小惑星イトカワから持ち帰った微粒子の観察結果から、それらが経験した温度やその年代などがわかった。そこで、そのような環境を達成するためにはイトカワの母天体はどのような天体であったかを探ることを目的とした研究を行った。数値計算結果からイトカワ母天体のサイズやその形成年代に制約を加える事ができたので、その紹介を行う。
- 5/14 小林弘(総研大/理論部) ブラックホール球対称降着流:臨界降着率近傍での観測的特徴
- ブラックホールの球対称降着流や球対称風において、観測される光球はしばしば球面が念頭に置かれているが、観測者にとって光学的厚さが1になる面は一般には球状にはらず、特に相対論的な流れにおいては、球面から大きくずれることが指摘されている。 この数年にわたり、とくに輻射圧によって光学的に厚い球対称風が吹いている場合について、相対論的光学的厚みをきちんと考慮して、観測的にどのような特徴を示すかを検討した。すると黒体輻射とは大きくずれ、べき乗型スペクトルになることなどを示した。一方、光学的に厚い球対称降着流では、質量降着率が臨界降着率より十分に大きければ、光球面は十分遠方に位置するため、落下速度も小さくあまり大きな違いはみられないと予想された。 しかし、質量降着率が臨界降着率近傍では、見かけの光球面は小さくなり、落下速度も大きくなるので、相対論的効果が強く働いてくると考えられる。 本研究では臨界降着率近傍の球対称降着流に絞って、見かけの光球を計算し、球対称降着流の観測的特徴を調べた結果を報告する。
- 5/21 押野翔一(CfCA) 多様体補正エルミート積分法
- エルミート積分法は惑星形成を含め、衝突系の力学進化を調べるためによく使われている積分法である。しかし、エルミート法はシンプレクティック積分法と異なり、エネルギー誤差が時間に依存して成長してしまうため長時間計算を行う際には誤差が積み上がってしまう問題がある。そこで、エルミート積分法に多様体補正を適用し長時間の計算でも誤差を抑える手法の紹介を行う。
- 5/28 高橋博之(CfCA) R2MHDコードによる超臨界降着円盤の大局的数値実験とGR-RMHDコード開発
- ブラックホール(BH)は恒星質量程度の小さなものから銀河中心に存在するような巨大BHが存在し、どのようにBHが成長したかは未解明である。我々のグループではガス降着による BH成長が可能であるかを調べるためR2MHDコードを用いて大局的数値実験を行った。その結果、BHへの質量降着率に対する古典的な上限(いわゆるエディントン降着率)は存在せず、BHの急成長は可能である事がわかった。ただしこの計算では(i)周りに十分なガスがあること、(ii)一般相対論的効果が無視できる事、という仮定が入っていた。特に後者についてはブラックホールが回転している場合に顕著になる可能性がある。そこで次に我々はR2MHDコードを発展させ、GR-RMHDコードを開発、実装した。こちらの詳細についても報告する。
- 6/4 田中雅臣(理論部) 高頻度突発天体サーベイによるextremely radio-loud AGNの発見
- 近年、超新星爆発などを探査するため多くの突発天体サーベイ観測が行われている。その多くは超新星爆発の変動タイムスケールに合わせて、約数日おきに同一視野の観測を行っているため、1日以下のタイムスケールをもつ変動天体の研究は未開拓の領域である。この1日の壁を越えるため、我々は、東京大学木曽観測所のシュミット望遠鏡を用いて高頻度突発天体サーベイを行っている。このサーベイの主な目的は、超新星爆発の衝撃波が星の表面に到達する瞬間(ショックブレイクアウト)を捉えることであるが、高頻度の反復観測を行うことにより様々な天体の短時間変動現象も捉えることができる。本コロキウムでは、このサーベイで偶然発見された短時間変動するAGNについて紹介する。
- 6/11 浜名崇(理論部) 弱い重力レンズ効果で検出された銀河団のX線放射の性質
- すばる重力レンズサーベイによって検出された10個の銀河団のX線フォローアップ観測の結果について報告する。8銀河団については、Chandraによる新たな観測を行い、残りの2銀河団については、ChandraとXMM-Newtonのアーカイブデータを利用した。重力レンズ銀河団のX線光度とX線温度の関係は、X線で検出された銀河団のスケーリング関係と同様であった。一方、X線光度と銀河団質量の関係については食い違いが見られた。この食い違いは、重力レンズによる質量測定のバイアスを考慮すると軽減される。また、X線画像を用いて銀河団の力学構造を推定し、力学構造の違いによるスケーリング関係への影響を検討した結果も報告する。
- 6/18 滝脇知也(CfCA) 超新星爆発の新パラダイム
- これまで超新星の研究者は”現実では爆発している超新星がシミュレーションで爆発しない”という問題の解決を目指してきた。ニュートリノで原始中性子星の外側を加熱するシナリオを考えたとき、星の形を球対称に仮定した1次元シミュレーションでは、超新星は爆発しないのである。 この状況は近年ドラスティックに変わり、多次元シミュレーションにより爆発モデルが得られ始めている。そうしたシミュレーションでは対流や定在降着衝撃波不安定性など、 物質を撹拌する効果が自然に取り入れられ、それらがニュートリノ加熱を促進することで 最終的に爆発が得られることが分かってきた。 しかし、これで超新星の問題は解決というわけではない。多次元シミュレーションでは、ぎりぎり爆発しているため、入力物理のちょっとした違いで、爆発が得られないこともあるのである。 今後は考えうる全ての入力物理をアップデートした多次元シミュレーションを行い、超新星爆発の理論を確定させる必要があるだろう。これが超新星爆発の新パラダイムである。 本セミナーでは、3次元における撹拌的効果の整理と、超新星爆発の解明に向けたロードマップを示したい。
- 6/25 富阪幸治(理論部) フィラメント状磁気雲の力学平衡解
- 星間分子雲を形作る基本形態が「フィラメント」であるというパラダイムがハーシェル衛星の観測を通じて形成されるようになった。星間偏光の観測からフィラメントを貫く磁場はフィラメントに垂直であると考えられている。このようなフィラメントのローレンツ力+熱圧力=重力+外圧の釣り合い力学平衡解を調べているが、今回は、磁束に対して質量がどのように分布しているか(mass loading)が平衡解にどう効くのかのを調べた結果を述べる。前回のコロキュームではしょった計算法についても述べる。
- 7/2 平居悠(東京大/理論部) 矮小銀河の化学動力学進化シミュレーションから探るrプロセスの起源天体
- すばる望遠鏡やVLT等の大型望遠鏡を用いた高分散分光観測によって、近年、銀河系及びその周りに存在する矮小銀河中の恒星の重元素組成の詳細が明らかにされつつある。銀河内における重元素の空間分布、頻度分布は、銀河の力学進化に由来する星形成史を反映するはずであり、化学進化と力学進化を同時に計算することによって初めて説明できるものとして、注目され始めている。ここでは、特に超新星爆発や中性子星連星系の合体などの爆発現象で合成されると考えられているrプロセス元素に注目する。最近の元素合成計算によると、ニュートリノ加熱型の超新星爆発では、質量数の大きいrプロセス元素を作るのは難しいことが示唆されている。一方、中性子星連星系の合体では、合体までに一億年程度を要すると、[Fe/H] < -2.5 で高い[Eu/Fe]を持つ星を説明できないという問題が指摘されている。そこで、我々は、N体/Smoothed Particle Hydrodynamics コードに超新星爆発、中性子星合体に伴うエネルギーと重元素のフィードバックの効果を取り入れた化学力学進化モデルを構築して、この問題に取り組んでいる。本コロキウムでは、rプロセス元素の進化を含めた化学力学進化モデルを紹介し、矮小銀河について行った化学力学進化計算の結果について報告する。
- 7/9 工藤哲洋(理論部) 磁場と乱流が強い分子雲における自己重力収縮コアの形成時間
- 強い磁場が分子雲にあるとすると、星が形成するまでに要する時間が観測で予想されるよりも長過ぎることが指摘されていた。しかし、その後、分子雲がその内部に(観測されているような)大きな乱流速度を持つ場合、磁場が強くても星の形成時間は短くなる事が数値シミュレーションによって示された。ただし、形成時間が短くなるメカニズムは定量的に説明されてはいなかった。そこで、ここではそのメカニズムについて考察した。その結果、星が形成するまでの時間を内部速度の関数として表す準解析的な概算式を得た。その式(とそれを導出する物理過程)により、おおよそ数値シミュレーションの結果を説明することができた。
- 7/16 小久保英一郎(理論部) 近接地球型惑星の形成
- 最近の高精度ドップラー法やトランジット法によって、多数の恒星の近傍に地球型(小型固体)惑星が発見されている。これらの惑星のほとんどは複数惑星系に存在し、軌道面はほぼそろっていて軌道離心率は小さく、太陽系地球型惑星と比較して、軌道間隔が狭い。このような惑星系の形成過程を多体シミュレーションによって調べている。今回は近接地球型惑星形成の最終段階である巨大衝突の基本物理を、太陽系地球型惑星形成の巨大衝突と比較しながら紹介する。
- 7/23 Benjamin Wu (University of Florida) GMC Collisions as Triggers of Star Formation
- We utilize magnetohydrodynamic (MHD) simulations with adaptive mesh refinement (AMR) to explore the process of GMC-GMC collisions as a potential trigger for star formation. We start by implementing new PyPDR/Cloudy-based density/temperature/extinction-dependent heating and cooling functions in Enzo that span the atomic to molecular transition and can return detailed diagnostic information. We then explore a suite of idealized 2D simulations for GMC-GMC collisions, which track the fate of an initially stable clump embedded within one of the clouds. Different collision velocities, impact parameters, magnetic field strengths and orientations are considered, as is the role of ambipolar diffusion. We determine the ability of cloud collisions to compress the clump and perhaps initiate its global collapse. We then extend these calculations to 3D, including introduction of initial turbulence into the clouds. Filament creation and interaction is visualized and analyzed. We discuss potential diagnostic signatures of GMC collisions and compare to some proposed example cases in the Galaxy.
- 10/01 銭谷誠司(理論部) MHDリコネクションにおける圧縮性流体効果
- 太陽コロナ、地球磁気圏、あるいは高エネルギー天体環境では、磁気圧 >> プラズマ圧力の低βプラズマ中で、磁気リコネクションが起きている。低β環境でのMHDリコネクションは、長年にわたって研究されているテーマであるが、最近、現代的なシミュレーション技法が導入されるとともに新しい側面が見えてきた。例えば、Zenitani & Miyoshi (2011) は、プラズマが掃き集められたプラズモイド(磁気島)周辺に新しい衝撃波構造ができることを報告している。 本発表では、この結果を少し違う視点(圧縮性流体力学/高速流体力学)で再考する。 流体力学では、典型的な流れ速度が音速と同程度になると、さまざまな圧縮流体効果が現れる。これはまさにジェットの典型速度が音速を超える低βリコネクションにも当てはまり、航空機の翼面に現れる衝撃波や、ラバルノズルでの断熱加速といった圧縮流体現象が見えている。特に、超音速ジェットの中に現れる「ショックダイアモンド」という現象に注目し、その臨界出現条件や、銀河系外ジェットの物理との共通点・相違点を議論する。
- 10/08 野村真理子(理論部) Ultra Fast Outflowのラインフォース駆動型円盤風モデル
- 活動銀河核(AGN)の輻射スペクトルに青方偏移した吸収線が発見され、ジェットとは異なるアウトフローがあることがわかってきた。特にUltra Fast Outflow (UFO)と呼ばれるアウトフローはSeyfert銀河の約半数で観測されており、速度や質量放出率が大きいことから巨大ブラックホールの成長過程や母銀河の星形成にも影響している可能性がある。アウトフローの正体は降着円盤表面から噴出する円盤風であると考えられているが、その噴出メカニズムや構造は不明である。我々は有力なモデルの一つであるラインフォース駆動型円盤風の輻射流体シミュレーションを行った。計算の結果、開口角が大きく速度が光速の10%に達する円盤風が噴出し、その電離度や速度、柱密度はUFOのX線観測から示唆される値と一致した。さらにブラックホール質量やエディントン比などを変えてシミュレーションを行った結果、低高度AGNでは円盤風は発生せず、一方quasarやnarrow line Seyfert 1でUFOが観測される可能性があることがわかった。これらの結果に加えて、シミュレーション結果を元にした輻射スペクトル計算についても紹介する。
- 10/15 大須賀健(理論部) 特殊相対論的輻射磁気流体力学計算の新解法
- 輻射場を如何に正しく解くか?これは理論天文学が長年にわたって抱えてきた大問題である。過去の研究においては、輻射輸送の膨大な計算量を抑えるために、モーメント法を用いた近似的な計算法が用いられてきた。しかし、光学的厚みが比較的小さい状況や密度の非等方性や疎密が激しい状況では正しい解が得られないという難点があった。そこで我々は、時間依存型輻射輸送方程式を解き、輻射場と流体を同時に時間発展させる計算法を開発した。これは過去の近似法とは質的に異なる新たな手法である。特殊相対論はフルに組み込んでおり、非等方な電子散乱も扱える。陰解法と陽解法を巧みに組み合わせることで大規模並列計算が可能である。光速でタイムステップが決まるので、流れの遅い現象への適用は非現実的であるが、ブラックホールや中性子星周囲の現象を正しく調べる上では極めて有用な手法である。
- 10/22 柴垣翔太(理論部) 連星中性子星合体におけるrプロセス元素合成と核分裂反応
- rプロセスは鉄より重い元素をつくる重要な元素合成過程であるが、それがどの天体で起きているかは未だわかっていない。近年の数値シミュレーションからは超新星爆発ではrプロセスが起きないことが示唆されている。連星中性子星の合体はそれに取って代わるrプロセス候補天体として注目されている。連星中性子星合体でのrプロセスでは、非常に中性子数密度が高いために核分裂をするような重たい原子核がつくられる。そのため、核分裂反応が重要な核反応の一つになる。本発表では、新たな核分裂モデルを用いた連星中性子星合体の元素合成計算について議論する。
- 10/29 吉田春夫(理論部) シンプレクティック数値解法
- シンプレクティック数値解法はハミルトン系に対する専用数値解法で、元の微分方程式の解の時間発展がシンプレクティックと言う性質を厳密に保存する離散解法である。シンプレクティック数値解法ではエネルギーが良く保存され、長時間の数値計算には必須のものとなっている。そのシンプレクティック数値解法の基礎事項 (i) シンプレクティック数値解法の作り方、(ii) エネルギー誤差の非増大の理由、を主として調和振動子を例に説明する。
- 11/19 梶野敏貴(理論部) 宇宙のダークフローは存在するのか?
- 2012年にKashinskyらは、銀河団およびWMAP衛星による宇宙マイクロ波背景放射(CMB)ゆらぎの測定データに、35h^-1 Mpcの距離のグレートアトラクターを越えるスケール200―700 Mpcに一様な双極子的フロー(ダークフロー)が存在する可能性を検出した。理論的にはマルチインフレーション、プレインフレーションの時空ゆらぎ、あるいはマルチバースによる量子もつれ効果等から、このように大きな宇宙スケールのダークフローの存在が予測される。我々は高赤方偏移Ia型超新星観測チームと協力して、Ia型超新星の赤方偏移・距離データUnion.2.1およびSDSS-IIIを独立に再評価して、ダークフローの検出を試みた。その結果、Union.2.1のデータ解析からは高い赤方偏移z>0.05と低い赤方偏移z<0.05で互いに異なるダークフロー速度の結果を得た。SDSSIIIデータの解析からこの矛盾の原因を究明することを試みた。今回のshort talkでは、その結果を報告する。
- 11/26 藤本桂三(理論部) 3D dynamics of collisionless magnetic reconnection
- Mangetic reconnection is one of the key processes which release the magnetic field energy into plasma kinetic energy and drive explosive phenomena in collisionless plasmas. A number of observations in the Earth magnetosphere, laboratory experiments, and solar flares have suggested that the reconnection process is essentially three dimensional. However, the 3D model of magnetic reconneciton was poorly established yet, in part, because of limitation of the comupter resources. The current study focuses on plasma turbulence arising around the magnetic x-line by using the K, the state-of-the-art supercomputer of Japan. We show that the electromagnetic turbulence not only gives rise to the anomalous electric resistivity, but also controls the outflow jet structure in large (MHD) scale. The 3D outflow jets may explain the bursty plasma flows observed frequently in the Earth magnetotail.
- 12/03 石津尚喜(CfCA) 原始惑星系円盤におけるダスト層のストリーミング不安定性の数値シミュレーション
- 微惑星の形成過程は、未だどのようなメカニズムで形成されたか理解されていない。現在、微惑星の形成のメカニズムの一つとして有望視されているのがストリーミング不安定性である。ダストが成長し、原始惑星系円盤の中心面にダストが沈殿してダスト層が形成されると、ダストとガスはお互いに抵抗を及ぼし合う。ガスが圧力勾配によりケプラー速度より幾分遅く公転するので、ダストから見ると向かい風を受けることになる。角運動量を失ったダストは中心星に落下する。ある領域でダストの空間密度が増加すると、失われる角運動量に対して慣性が大きくなるので落下速度が減少する。さらに落下してきたダストを集めることによって、落下速度が減少する。このようにしてダストが濃集し、重力的に束縛されることによって微惑星が形成されるというメカニズムが数値シミュレーションにより示された。本講演では、このメカニズムの解像度依存性を調べ、実際に微惑星が形成されるまでダストが濃集可能かを検証する。
- 12/17 柴田雄(東京大/理論部) 微惑星集積による原始惑星の自転特性
- 太陽系形成の標準シナリオでは、固体惑星は微惑星とよばれる小天体の集積によって形成される。大きな微惑星ほど強い重力で周りの微惑星を捕獲し、暴走的に成長していく。暴走的に成長する微惑星を原始惑星といい、複数の同質量程度の原始惑星が一定の軌道間隔を保って成長する段階を寡占的成長とよぶ。本研究では、これらの成長過程における、微惑星の軌道進化と集積を、重力多体計算を用いて計算し、原始惑星に集積する自転角運動量を計算することで、自転角速度や自転軸傾斜角(以下、自転特性)を調べている。初期条件として、太陽周りに半径 1AU のリング状に質量 10^23g の微惑星を 9000 粒子分布させた。円盤の面密度は林モデルの1.5倍とし、リングの幅は、リング粒子の総質量が原始惑星の孤立質量程度になるようにした。初めに、円盤ガスなしの計算を行った。結果、原始惑星の自転軸傾斜角は等方的に分布し、自転角速度については、質量の増加と共に小さくなる依存性がみられた。多くの計算で 10^26gまで成長した原始惑星の自転角速度は、同サイズの火星の自転に比べて1.5倍程度速くなった。自転角速度の質量依存性は、多数の小質量の微惑星が原始惑星に等方的に集積することで、集積する角運動量が打ち消されるために生じる。この依存性は微惑星の初期質量を大きくすると弱くなる。これは、初期の微惑星の質量を大きくし、数が少なくなることで、集積による角運動量の打消しが効かなくなるためである。また、微惑星固体密度(ρ)と自転角速度(ω)の間にはω ∝ ρ^1/2の関係がある。現在は円盤ガスを考慮した計算を行っている。これにより、微惑星系の速度分散が抑えられ、集積する角運動量が小さくなることで、自転角速度が小さくなる傾向が得られた。発表では以上に加え、原始惑星軌道周辺に生じる微惑星円盤のギャップが、原始惑星の自転の向きに影響を及ぼす可能性についても議論する。