2019.8.12 articles

大質量星の重力崩壊直前における酸素殻燃焼の3次元シミュレーションに成功

東京大学の吉田敬研究員と科学研究部の滝脇知也助教らのグループは大質量星の酸素殻燃焼時の3次元シミュレーションに成功しました.シミュレーションの結果,乱流の強さを表すマッハ数で0.1にもなる強い乱流が得られました.図はその様子でSiの量を色で表しています.この大質量星はその後すぐに重力崩壊し,超新星爆発を起こします.シミュレーションで得られたような強い乱流によって生じた非球対称な密度分布は超新星爆発のエネルギーを強める一因となると考えられています.

この研究ではまず星の初期質量等を変えた100モデルのでの1次元球対称シミュレーションを行いました.この計算で星の誕生(主系列星)から重力崩壊に至る進化を追い,中でも乱流が起こりそうな11モデルを取り出し2次元軸対称シミュレーションを行っています.その結果,ケイ素が多く含まれる酸素層が1000km程度にあるとき強い乱流が生まれることがわかりました.上記の3次元シミュレーションの結果はこの2次元シミュレーションの結果と比べられ,乱流のエネルギースペクトルが実際にはどうなるのかなどが議論されています.

2019/08/13

Reference:
Takashi Yoshida, Tomoya Takiwaki, Kei Kotake, Koh Takahashi, Ko Nakamura, and Hideyuki Umeda,The Astrophysical Journal, in press [ADS], [ApJ]

Contact:
吉田敬 [orcid]
滝脇知也 [personal website]